日頃目にしているコーヒーカップやティーカップには、それぞれ異なる形状があります。
例えば、コーヒーカップはふつう縦長で開口部が狭めの形をしていますが、ティーカップは平たく、かつ開口部が広がっているのが一般的です。
このようなデザインの差は、いったいどこから来るのでしょうか。
また、カップを持つ際の正しい方法や、カップの下に置かれるソーサーにはどのような意味があるのかについても解説いたします。
コーヒーカップとティーカップの違いとは?
コーヒーカップとティーカップは、一見似ているようで実はいくつかの点で差があります。
それぞれの飲み物の特性に合わせて、大きさや形状、持ち手のデザインなどが異なります。
コーヒーカップの大きさと形状
コーヒーカップはしばしば、口元が狭く、筒形の小ぶりなデザインが多いことが特徴です。
ティーカップの大きさと形状
その形状は、底が広がった平たいデザインで、口元は広めに作られています。
その理由は紅茶を飲む際に、その色合いや香りを存分に味わうためです。
確かに、口が広いために冷めやすいという欠点がありますが、紅茶はコーヒーと違って、温度が下がっても十分においしいとされています。
このため、紅茶専用に口が広く、背が低い形状のカップが好まれるのです。
持ち手のデザイン
持ち手に関しても違いが見られます。
ティーカップの持ち手は指を通しやすいように大きく設計されていることが多く、緩やかなカーブを持っています。
これに対しコーヒーカップはよりコンパクトで、しっかりとしたグリップ感が求められるため、より小さめに作られていることが一般的です。
材質の違い
材質にも差と特色があります。
高温でしっかり焼かれるポーセリン製のコーヒーカップは、耐熱性が高く熱い飲み物に適しています。
一方ティーカップは、磁器や陶器など様々な素材で作られていることがあり、ティーセットとしての見た目の美しさにも配慮されています。
カップの正しい持ち方について
コーヒーカップとティーカップでは、持ち方にも違いが存在します。
コーヒーカップの持ち手は一般的に小さめで、指が通りづらい構造になっているため、ほとんどの場合、親指と人差し指で持ち手同壌をつまむようにして扱います。
これは、コーヒーカップのサイズが小さく、口が狭いため、つまむだけで安定させやすいためです。
一方、ティーカップは口が広めであり、カップを確実に把握しないと飲み物がこぼれるリスクがあります。
このため、ティーカップの持ち手は指を通しやすくデザインされており、持ちやすさに配慮されています。
しかし、これらは一般的なケースの話であり、実際にはブランドによっては例外的なデザインが採用されていることもあります。
たとえばドイツの高級食器ブランドであるマイセンの代表作、「ブルーオニオン」は、カップの形状が多岐にわたり、コーヒーやティーを問わず、様々なカップで指を持ち手に通して持つことが可能なものがあります。
それに対し、ロイヤルコペンハーゲンの「ブルーフルーテッド」シリーズなどは、持ち手が細くて指が入らないため、持ち手をつまんで持つ形になります。
このように、ブランドによってはカップを軽くしたり、持ち手のデザインを変えるなど工夫が施されています。
コーヒー・ティーカップのソーサーの存在意義とは?
日常生活でマグカップを愛用する方々がいる一方で、疑問が浮かび上がります。
なぜコーヒーやティーカップにはソーサーが付属するのか、ということです。
一見不要に見えるソーサーですが、その歴史的役割を知ると興味深いです。
古くは熱い飲み物を冷ますためにカップからソーサーへ移し、それから飲む習慣がありました。
それゆえ、ソーサーは深く作られ、カップと同じくらいの容量を持つものが使用されていたのです。
例えば、先ほども取り上げたマイセン製の「ブルーオニオン」コーヒーカップ&ソーサーも、そのような深いソーサーが特徴です。
しかし、20世紀に入り、ソーサーで冷ます行為が無作法とみなされるように変化しました。
それにより、現在のようにカップから直接飲むスタイルが主流になったのです。
今でこそソーサーの実用的な機能はあまり活用されていませんが、それでもセットとして存在しているのは、過去の文化や習慣を色濃く残しているためと言えるでしょう。
まとめ
この度はコーヒーと紅茶のカップの特徴やその違いに関する解説を行いました。
それぞれのカップは、持ち手のデザインがメーカーによってかさながる一方で、美味しく頂くための緻密に計算された形状が特長です。
特に指がスムーズに通り、しっかりと握れる持ち手のデザインは、安心感を与える現代のトレンドといえるでしょう。
カップの受け皿に関しては、昔の冷ます習慣が源流でありながら、今では冷ます目的で用いることは少なくなりました。
しかし、これがあることで小皿としても役立つ一方、深さがあるとソーサーが手に触れやすく、糸尻がないとカップが滑りやすくなるといった側面もあります。
結局のところ、使い勝手がよく、個人の嗜好に合ったカップ&ソーサーを見つけることが大切ですね。
自分だけのお気に入りカップで、日々のコーヒータイムやティータイムをより一層楽しんでください。