「節分には何を食べるのか」という疑問はよく耳にします。
豆まき後の煎り豆や、最近人気の長い海苔巻き「恵方巻き」など、節分には様々な食べ物が登場します。
関東や東北では、かつて恵方巻きは見かけない風習でしたが、今では広く知られるようになり、「これはどういうことなのか？」と思うこともしばしば。
実は、日本各地では、節分に独特の食べ物を楽しむ文化が根付いています。
この記事では節分に食べられる「9つの食べ物」とそれぞれの背後にある物語をご紹介します。
②豆（福豆）
③落花生
④いわし
⑤くじら
⑥そば
⑦こんにゃく
⑧けんちん汁
⑨福茶
それぞれの食べ物に込められた節分の願い
1：恵方巻きの誕生と意義
恵方巻きが節分の時期に食べられるようになった起源には諸説ありますが、その確かな由来は明らかではありません。
一説には、江戸時代の終わり頃、大阪の商人たちが節分に商売繁盛や厄除けのために食べ始めたと言われています。
1998年にセブンイレブンが全国的に販売を開始したことで、「恵方巻き」という名前が一般化しました。
それ以前は地域によって「丸かぶり寿司」とも呼ばれていたようです。
恵方巻きを食べる背景には、7種類の具材を用いることで七福神を呼び込み、福を巻き込むことで健康や繁栄を願う思いが込められています。
また、その長い形状は、豆まきで逃げた鬼が落とした金棒に例えられ、豊かさの象徴とされています。
具材は地域や家庭により様々で、シイタケ、かんぴょう、桜デンプン、きゅうり、厚焼き卵、うなぎ、高野豆腐、しそ、かまぼこ、しょうがなどが巻かれることがあります。
2：福豆と節分の関係
節分で福豆を使う習慣は、「豆＝魔目」という言葉遊びからきており、鬼の目に豆を投げて悪を払い、つまり魔を滅ぼすという意味があります。
昔から穀物には神聖な力が宿るとされ、特に豆はその力が強いと信じられていました。
ですから、福豆を食べることで健康や長寿を願うと共に、炒ることで良い縁起を招くとされています。
3：節分と落花生の繋がり
寒冷地域では節分に落花生を使用する風習があります。
これは雪の上でも見つけやすい、高カロリーで冬に適しているなどの理由からです。
また、拾いやすく食べやすいことも合理的な選択とされています。
一部の九州地方では、特産品としての落花生が節分の豆撒きに用いられることもあるようです。
4：節分にイワシを用いる意味
特に西日本では節分にイワシを使う習慣があります。
イワシの匂いや、ヒイラギのとがった葉が鬼を遠ざけるとされ、家の戸口にこれらを飾ることで鬼の侵入を防ぎます。
また、イワシの匂いが体内の陰の気を払うともされ、魔除けに役立てられます。
語源としては「よわし（弱し）」や「いやしい（卑しい）」があるものの、その独特な存在感で、節分には鬼を追い払うために重宝されています。
陸に上げると弱るのが早いことから、弱いことを意味する「よわし」が語源とされています。イワシは水から出ると非常に早く鮮度が落ちることから、この名がつけられたと考えられています。
昔は庶民に愛されていて、貴族が食べるものではないとされていたため、「いやしい」と呼ばれていました。イワシは豊富で安価であったため、広く庶民に親しまれていた一方で、高級な食材とは見なされていなかったのです。
5: 節分でクジラを食べる習慣の背景
山口県をはじめとする一部地域では、節分にクジラ肉を食べるという風習があります。
この習慣は、「大きなものを食べることで、自らも大きな志を抱く」という意味合いや、豊かな幸せを願う心から来ています。
クジラはその巨大さで「大きく繁栄する」という縁起の良さを象徴しており、そうした理由から節分の食卓に登場します。
6: 節分におけるそばの役割
かつて節分は年末にあたり、新しい年を迎える重要な節目でした。
その日にそばを食べることは、長寿や厄除け、さらには新たな年に向けての良い始まりを願う意味が込められています。
そばが細長く、切れやすいことから、長生きや悪運を断ち切る象徴とされ、また、そばの強靭さからたくましい一年を願う気持ちも表されています。
7: 節分でこんにゃくを選ぶ意味
四国を含むいくつかの地域では、節分にこんにゃくを食べる習慣があります。
こんにゃくにはデトックス効果があるとされ、「胃のほうき」とも例えられています。
節分がかつて年の終わりにあたり、新年を清らかに迎えるため、体内をきれいにするこんにゃくを食べることには、身体を浄化し新年を健やかに迎えるという意図が込められています。
また、こんにゃくは健康維持に寄与するさまざまな効能が期待されており、節分に食べることで一年間の健康を願います。
8: 節分にけんちん汁を食べる習慣
関東地方の一部では、節分の際にけんちん汁を食べるという風習があります。
これは、大根やにんじん、ごぼう、里芋などの根菜類と豆腐、こんにゃくを使った栄養たっぷりの汁物です。
けんちん汁は、寒い時期に体を温め、栄養を摂るために好まれています。
その起源は「ケンチュン」と呼ばれる中国の肉を使わない料理や、建長寺の精進料理から来ており、節分だけでなく寒い時期の様々な行事で食されています。
9: 節分における福茶の役割
福茶は節分の時に健康や長寿を祈願して飲まれるお茶で、節分専用というわけではなく正月など他の祝い事にも用いられます。
特に節分では、福を呼ぶ象徴として福豆などが加えられます。
この風習は平安時代に疫病からの救済として空也上人が提唱したとされ、昆布や梅、福豆など、各材料には健康や福をもたらすとされる意味が込められています。
まとめ
節分に特有の食べ物は地域によって異なり、それぞれに独自の意味や伝統が込められています。
これらの食習慣は、新しい年を迎えるにあたり健康や福を祈る人々の願いを映しています。
各地の節分食を知ることは、日本の豊かな文化を深く理解するきっかけとなります。
見慣れない食べ物もその背景を知ることで、節分をさらに楽しむことができるでしょう。
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